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『The Pacific』日本人には気分悪いが、反戦メッセージの優れたミニシリーズ

The Pacific

HBOの大作ミニシリーズ『The Pacific』を見ています。スティーブン・スピルバーグとトム・ハンクスという『Band Of Brothers』の2人が再タッグを組んだ話題作で、パールハーバー以降、アメリカが第二次世界大戦に参戦した日米の戦い、太平洋戦争を舞台に描きます。

前もってお断りしますが、私は全10話中4話までを見て書いています。すでに放送は終わっていて、最終話がとても良いとのレビューをいくつか読みました。あ、賛辞ってもアメリカ人から評判が良いということで、私(日本人)にとっては気分悪いことになりかねませんよ。

主人公は実在する人物、ロバート・レッキー(「24」のジェームズ・バッジ・デール)、ユージン・スレッジ(ジョセフ・マゼロ)、ジョン・バジロン(ジョン・セダ)の3人の元海兵隊の話が中心になって描かれます。原作はレッキーとスレッジの太平洋戦争のそれぞれの回顧録を脚本にまとめたようです。

全10話のうち、1と2話ではレッキーたちが入隊し、ガダルカナル島で日本軍と戦う姿が描かれます。3話ではガダルカナルで死闘を繰り広げたレッキーとバジロンたちが、豪メルボルンでつかの間の休暇と女性を楽しむ姿が、そして4話では西部ニューブリテン島の戦いとレッキーの一時離脱が描かれています。その後は、硫黄島や沖縄を舞台とした戦いから日本降伏までが描かれているようです。

回顧録が原作ですから、描かれているエピソードは実話が主なのでしょう。かといってこれで歴史を学ぶことはできません。歴史の流れを知りたいなら、歴史家が書いた本を読むべきでしょう。このミニシリーズで描かれているのは、米兵たちの戦場での毎日と、その心の動きです。

このブログを書く前に、日本のウィキペディアで“ガダルカナル”と引いてみましたが、ミニシリーズで描かれているよりずっと戦いは複雑だったと分かりました(当たり前なんだろうけど)。熾烈な戦いだったと聞いたことがありますが、戦場の悲惨さは想像以上。こうした状況描写は映像にかなうものはありませんね。

ストーリーに対する感想を書く前に、日本兵の描き方について書いておきましょう。日本人にはこのミニシリーズは少々キツイと思います。日本兵は、「アグリー・イエロー・モンキー」(劇中より)。「ジャップ」という言葉をこれほど連発して映画やTVで聞いたことはありません。また、日本兵は弾が前から飛んでくるのに、一直線に米兵に向かっていく単細胞に描かれています。さすがに、この描き方には日本人ならムナクソが悪い。原作となった回顧録では、米兵の視点からは日本兵がこんなふうに見えたということでしょうか?

4話まで見て、このミニシリーズは間違いなく反戦のメッセージが込められていると感じました。戦争映画といえば、“勧善懲悪”がお約束です。このミニシリーズでは日本兵の描き方はステレオタイプで相当酷いですが、かといって日本兵が極悪人に描かれているかといえば、それも違います。敵であることは間違いないですが、おそらくは「Wrong Place, Wrong Time」、つまり間違った時代に間違った国に生まれてしまったため、たまたま戦っているというように見えるのです。

米兵たちは、日本兵の死体の山を見ても笑顔はありません。「醜い黄色い猿」だとしても人の命を奪ってしまったことに苦々しさを感じます。日本兵の持ち物から母親と一緒に写した写真を見つけ、やはり心が痛みます。そして、米軍が完全優位な戦いを進めていると感じ、「もはや日本軍が敵ではない。敵はこのジャングルと雨だ」と、ただただシンプルに戦場にいることの苦しみを語ります。

「君たちは母国ではヒーローなんだよ」と誉められても、人殺しをして誉められていることに心中は複雑です。主人公の1人は、最も名誉ある勲章をもらいますが、友の犠牲によって得た勲章に何の価値も見出せません。

TVゲームの戦争ゲームで人は殺せるかもしれませんが、ジャングルの不快さも、愛する人にも会えない寂しさも、画面に向かっているだけでは決して経験できません。戦争の醜い部分をしっかりと、このミニシリーズは描いています。

反戦のメッセージは伝わるでしょう。ただし米兵の回顧録とはいえ、あまりにも一側面からしか描いていないがために、日本人が見ればアンフェアな作りに見えます。それとも私たちがナチス・ドイツの映画を見ても、今のドイツに偏見を抱かないのと同じで、全世界の大部分はこのミニシリーズを見ても、日本に対する見方を変えることなんてないのかもしれません。

最後まで見てみることにします。主人公らが終戦を迎え、どのような感情を見せるのか? 日本兵はやっぱり「醜い黄色い猿」のままでしょうか? それによって、今の私の落胆は取り消されるか、もっと深く沈むのか、どちらかになると思います。
「『The Pacific』最後まで見てみた(見る予定の方は読禁)」に続く

テーマ: 海外ドラマ(欧米)
ジャンル: テレビ・ラジオ

タグ: HBO ThePacific

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